厄払いのご祈祷を終えてお札を授かったものの、アパートに帰ってきて「どう飾ればいいんだろう…」と途方に暮れていませんか。ここでは、アパートでお札を飾るときに押さえておきたい3つの基本ルールを紹介します。方角・高さ・清潔さの3つさえ意識すれば、神棚がなくても神様に失礼にはなりません。
厄払いでいただいたお札をアパートに飾るときの基本ルール
①お札を飾る方角は「南向き」か「東向き」
お札を飾るときにまず気にしたいのが、方角です。お札の正面(文字が書いてあるおもて面)が南か東を向くように配置するのが、古くからのならわしとされています。
南は太陽の光がもっとも降りそそぐ方角で、古来より位の高い存在が向く方向とされてきました。「天子南面す」という言葉があるように、天皇も南を向いて座るのがしきたりです。そのため、神様の分身であるお札も南を向けて祀ることで、敬意を表すことができます。
一方、東は太陽がのぼる方角であり、一日のはじまりや運気の上昇を象徴しています。多くの神社の本殿も南向きか東向きに建てられていることから、この二つの方角が推奨されているのでしょう。
具体的にいうと、「お札を南向きにしたいなら北側の壁に」「東向きにしたいなら西側の壁に」置くことになります。アパートの間取りによっては理想の方角が難しいこともありますが、その場合は無理をしなくて大丈夫です。方角よりも「きちんと祀ろう」という気持ちのほうが大切だとされています。
スマートフォンのコンパスアプリをつかえば、部屋のどの壁がどの方角にあたるのかを手軽にチェックできます。まずは間取りを確認して、南向きか東向きにできる壁や棚がないか探してみましょう。
②目線より高い位置に祀るのが礼儀
お札を飾る高さは、大人が立ったときの目線よりも上がベストです。これは神様を敬う気持ちの表れであり、見下ろすかたちになると失礼にあたるとされています。
たとえば、立ち上がったときに少し見上げるくらいの高さに設置するのが理想的です。テレビ台のような低い家具の上では目線より下になりやすいので、避けたほうがよいでしょう。
アパートの場合、背の高い本棚やカラーボックスの上なら目線より高くなることが多いので、ちょうどよいスポットになります。もし置き場所がどうしても低くなってしまうなら、壁にとりつけるタイプのお札立てやウォールシェルフを活用するのもひとつの手です。
ちなみに、床に直接お札を置くのはもってのほかです。足元に神様をお祀りすることは、踏みつけるような意味になってしまいます。タンスの上でも本棚の上でもかまいませんが、「少し見上げる位置」をひとつの目安にしてみてください。
③明るく清潔な場所を選ぶのが大前提
方角と高さに加えて、もうひとつ大事なのが「清潔さ」です。お札は神様のご分身にあたるため、ホコリまみれの場所やじめじめした場所には置かないのがマナーとなっています。
明るくて風通しがよく、普段からきれいに保てる場所を選ぶことが大切です。たとえば、日当たりのよいリビングの一角などは理想的といえるでしょう。
逆にさけたいのは、浴室やトイレの近く、台所のコンロまわりなど湿気や油汚れが発生しやすいエリアです。お札は紙や木でできていることが多く、カビや汚れがつきやすい素材でもあります。
清浄な場所の定義にはっきりとした決まりがあるわけではありませんが、「自分が大切なお客様をお迎えしても恥ずかしくない場所かどうか」をイメージするとわかりやすいかもしれません。お札を飾ったあとも、まわりをこまめに拭いたり、ものをごちゃごちゃ置かないようにしたりして、きれいな状態をキープしましょう。
神棚がないアパートでお札を飾る場所はどこがベスト?
実家には神棚があったけれど、いまのアパートにはない。そんな方は少なくないでしょう。神棚がないアパートでも、お札を飾る場所はきちんと見つかります。ここでは、具体的にどこに飾ればよいかをエリア別に解説していきます。
①リビングや本棚の上がもっとも現実的
一人暮らしや二人暮らしのアパートで、お札をお祀りする場所としてもっとも選ばれているのがリビングです。リビングは家のなかで人がいちばん長くいる場所であり、自然とお札に手を合わせる機会もふえるでしょう。
神様は人が集まるあたたかい場所を好むとされているので、リビングはお札を飾るのにとても適した空間です。いつも目に入る場所に祀ることで、朝の「行ってきます」や夜の「ただいま」のタイミングで、ふと感謝の気持ちがわいてきます。
具体的には、リビングにある本棚の上やカラーボックスの最上段がおすすめです。目線よりも高く、ふだんからホコリを払いやすい場所であれば申し分ありません。
1Kのように部屋がひとつしかない間取りでも、棚やシェルフの上を活用すればお札のための小さなスペースをつくることは十分可能です。大がかりな神棚を用意する必要はないので、気負わずにトライしてみてください。
②本棚の上に飾るときの整え方
本棚の上にお札を飾ること自体にはなんの問題もありませんが、いくつかのポイントを押さえておくとより丁寧です。まず、お札を置く前に本棚の天板をしっかりと拭き掃除しましょう。
白い布や半紙を敷いてからお札を立てかけると、清浄な空間をつくることができます。百円ショップで売っている白い敷紙やランチョンマットでも代用が可能です。
お札が倒れないように壁に軽く立てかけるか、小さなお札立てを用意するとよいでしょう。お札がぐらぐらしていると、地震などで落ちてしまう可能性もありますし、見た目にも落ち着きません。
また、お札のまわりにはなるべくものを置かないようにするのがベターです。漫画や雑誌がごちゃごちゃと積まれていると、どうしても雑然とした印象になってしまいます。お札の左右にすこしだけゆとりをもたせるだけで、ぐっと神聖な雰囲気が出るでしょう。
③玄関・寝室・キッチンなどエリア別の向き不向き
リビング以外の場所にお札を飾りたい場合、それぞれのエリアの特性を理解しておくと安心です。寝室は厄除けや病気平癒のお札を飾る場所としてはアリとされています。自分自身を守っていただくお札であれば、寝室に置いても問題ないでしょう。
ただし、寝室に飾る場合は足元ではなく、頭の方向から見て高い位置に置くのがマナーです。布団やベッドに足を向けた先にお札があると、神様に足を向けて寝ることになってしまいます。
玄関については、魔除け専用のお札であれば適した場所ですが、一般的な厄除けのお札をメインで飾る場所としてはあまりおすすめしません。人の出入りが多くバタバタしやすいため、神様が落ち着けないといわれています。
キッチンは油はねや蒸気が発生しやすく、お札が汚れやすい環境です。調理中の熱や湿気もあるので、清潔さを保つのが難しくなります。どうしても置きたい場合はコンロからなるべく離れた位置を選びましょう。
④トイレ付近や足元などのNGスポット
お札を飾るのにふさわしくない場所も押さえておきましょう。まず、トイレやお風呂など水回りの近くは「不浄の場所」とみなされるため、お札の設置場所としてはNGです。
ゴミ箱のすぐそばやホコリがたまりやすい部屋のすみなども、神様のお住まいとしてはふさわしくありません。清浄さをたもてない場所は避けるのが基本と考えてください。
また、アパートやマンションでは、お札を飾った場所の真上の階にトイレや廊下がある場合があります。一軒家と違って上階の間取りはコントロールできませんが、もし気になるようであれば「天」や「雲」と墨書した白い紙を天井に貼るという方法があります。これは「ここより上には天しかない」という意味を示すもので、集合住宅にお住まいの方がよく取り入れている対策です。
足元や床に直接置くのは論外ですし、引き出しの中にしまい込むのも好ましくありません。お札は人の目に触れる場所に祀ってこそ意味があるものなので、見える位置を意識してください。
賃貸アパートで壁に穴を開けないお札の飾り方・固定方法
賃貸アパートでお札を飾りたいけれど、壁に穴を開けるのは困る。退去時の原状回復費用が心配で、画鋲すら使いたくない。そんな方でも実践できる、壁を傷つけないお札の飾り方や固定方法を具体的に紹介していきます。
①お札立て・簡易神棚なら壁を傷つけずに祀れる
もっとも手軽な方法は、置き型のお札立てや簡易神棚を使うことです。最近は、洋室のインテリアにもなじむモダンなデザインのお札立てが数多く販売されています。
卓上タイプのお札立てなら壁にいっさい穴を開けずに済むので、賃貸アパートにぴったりの選択肢です。木製のシンプルなものであれば、二千円前後から手に入るでしょう。
置き型のお札立てを棚の上にセットすれば、それだけで「お札の定位置」が完成します。ちいさな鳥居がついたタイプや、ヒノキの香りがするナチュラルなタイプなど、バリエーションも豊富です。
通販サイトで「お札立て 卓上」「簡易神棚 モダン」などのキーワードで検索すると、たくさんの候補が出てきます。自分の部屋のテイストに合うものを選べば、インテリアの一部として自然になじむでしょう。
②100均のウォールシェルフやお札立てで手軽にDIY
コストをおさえたい方には、100均のアイテムをつかったDIYがおすすめです。ダイソーやセリアで売っている「インテリアウッドウォールバー」と画鋲があれば、数分でお札立てを自作できます。
100均のウォールバーを壁にとりつけてお札を差し込むだけで、シンプルなお札スペースが完成します。費用はたったの二百円ほどなので、気軽にためせるのがうれしいポイントです。
もう少しきちんとした見た目にしたい場合は、100均のウォールシェルフを使ってみましょう。穴の開きにくいピンフックで固定すれば、退去時にもほとんど目立ちません。
「はがせる両面テープ」と調味料ラックを組み合わせるアイデアもあります。壁にテープで貼りつけるだけなので、穴はまったく開きません。どちらも百円ショップでそろう材料ばかりなので、週末の空き時間にさっとつくれるでしょう。
③無印良品の「壁に付けられる家具」を神棚代わりにする
もうすこしおしゃれに仕上げたい方には、無印良品の「壁に付けられる家具」シリーズが人気です。オーク材やウォールナット材の棚板で、洋室のインテリアにもしっくりなじみます。
無印良品の壁付け棚は、専用のピンで取りつけるため壁へのダメージが最小限で、賃貸でも安心して使えます。棚板にお札を立てかければ、シンプルで品のある神棚スペースのできあがりです。
棚のサイズは幅四十四センチや八十八センチなどいくつかのバリエーションがあるので、部屋の広さに合わせて選べます。お札だけでなく、榊やお塩などのお供えものも並べたい場合は、すこし幅のあるタイプがよいでしょう。
無印良品のアイテムはデザインがシンプルなので、お部屋の雰囲気をこわしにくいのもメリットです。来客があったときにも「おしゃれに飾っているな」という印象になるので、見た目を気にする方にはとくにおすすめといえます。
④マスキングテープや粘着フックなど賃貸向け固定グッズ
壁にお札を貼りたいけれど穴は開けたくない、というケースでは、マスキングテープや粘着フックが活躍します。マスキングテープはもともと養生用につくられたものなので、はがしても壁紙を傷めにくいのが特徴です。
お札の裏側にマスキングテープを貼り、その上からセロハンテープで補強するという方法なら、壁もお札も傷つけずに固定できます。ただし、粘着力がよわいとお札が落ちてしまうことがあるので、しっかり留まっているか確認しましょう。
ほかにも、コクヨの「ひっつき虫」やダイソーの「粘着タック」といった練り消しタイプの粘着剤も便利です。軽いお札やお札立てを壁につけるのにちょうどよい粘着力があり、きれいにはがせます。
「ニンジャピン」のように針が極細で抜いたあとの穴がほぼ目立たないタイプのピンもあります。一般的な賃貸では、画鋲程度の小さな穴であれば通常の使用の範囲として認められるケースが多いですが、心配な方は管理会社に確認してから使うと安心です。
⑤カーテンレールや鴨居に取り付ける神札ホルダー
壁に穴を開けるのがどうしても不安な方にとって、カーテンレールや鴨居を利用する方法は救世主のような存在です。カーテンレールに引っかけるタイプの神札ホルダーを使えば、穴あけの心配はゼロになります。
山崎実業の「鴨居上 神札スタンド」のように、鴨居の上に置くだけで設置できるタイプなら、ネジもピンもまったく不要です。白と黒のカラー展開があるので、部屋のインテリアに合わせて選べるのもうれしいところでしょう。
鴨居スタンドは幅が約二十五センチから四十五センチまであり、お札を一枚から三枚ほど並べられるサイズ感になっています。破魔矢やお守りも一緒に飾りたい方には、すこし大きめのサイズがぴったりです。
マグネットタイプの神札ホルダーもあり、冷蔵庫や玄関のスチールドアにくっつけて使うことができます。ただし冷蔵庫の上は頻繁に開け閉めするため、お札が落ちにくい設計のものを選ぶようにしてください。
厄払いのお札が複数あるときの正しい並べ方
厄払いのお札だけでなく、初詣で受けたお札や氏神神社のお札など、気づいたら何枚ものお札が手元にある…ということもあるでしょう。複数のお札がある場合、並べ方にはきちんとした順番があります。
①神宮大麻・氏神札・厄除け札の優先順位と配置
お札を横に並べるときの基本的な順番は、神社本庁や伊勢神宮の公式な案内でも示されています。正面から見て中央に「神宮大麻(伊勢神宮のお札)」、向かって右に「氏神神社のお札」、向かって左に「崇敬神社や厄除けのお札」を配置するのが正式なならわしです。
横に並べるスペースがない場合は、手前から神宮大麻・氏神札・厄除け札の順に重ねてお祀りしましょう。一社造りの神棚やお札立てでは、この重ね方が標準とされています。
厄払いでいただいたお札は、多くの場合「崇敬神社のお札」に分類されます。そのため、神宮大麻や氏神様のお札よりも外側(左側)もしくは後ろに配置するのが自然です。
とはいえ、「神宮大麻は持っていない」「氏神神社がどこかわからない」という方もいるかもしれません。その場合は、厄除けのお札だけを中央に置いてまったく問題ありません。お札が一枚だけならそのまま大切にお祀りしてください。
②神社とお寺のお札を一緒に並べても大丈夫?
厄除けのご祈祷は神社だけでなくお寺でも行われます。神社のお札とお寺のお札の両方を持っている方もいるでしょう。結論からいえば、同じ場所に並べても基本的には問題ないとされています。
「神様と仏様がケンカする」という説を耳にすることもありますが、日本では古くから神仏習合の歴史があり、原則として両者は共存できるとされています。ただし、優劣をつけないように気をつけることが大切です。
具体的には、どちらかの上にもう一方を重ねるのではなく、横に並べてどちらのお札も見えやすいように配置しましょう。神社のお札が右、お寺のお札が左、というようにわけて置くとすっきりします。
宗派によっては考え方が異なるケースもありますので、もし不安があれば、お札を授かったお寺や神社に直接たずねてみるのがいちばん確実です。丁寧に教えてもらえるはずなので、遠慮せずに聞いてみましょう。
③スペースが狭いときは重ねずに横並びが基本
アパートの限られたスペースでお札を何枚も飾るのは、なかなか大変かもしれません。とはいえ、お札を適当に積み重ねるのはなるべく避けたいところです。
スペースが狭い場合でも、お札を横に並べてすべてのお札の正面が見えるようにするのが理想的です。どうしても横に並びきらない場合に限り、先ほど紹介した順番で手前から重ねていきましょう。
お札の枚数がふえすぎて棚に収まらなくなったときは、お札立ての横に丁寧に立てかけるかたちでも大丈夫です。神社本庁の案内でも「宮形に入りきらないお札は横に並べておまつりします」とされています。
大切なのは、すべてのお札を同じように敬い、丁寧にあつかうことです。一枚だけ奥にしまい込んだり、ほかのお札の下敷きにしたりしないように心がけましょう。
厄払いのお札をアパートで飾るときにやってはいけないこと
厄払いのお札をアパートで飾る際には、「やってはいけないこと」もいくつかあります。知らずにやってしまうと神様に失礼になるケースもあるので、ここでしっかり確認しておきましょう。
①お札に画鋲を刺すのは絶対NG
お札をかんたんに壁に固定したいからといって、お札そのものに画鋲やピンを刺すのは絶対にやめてください。お札には神様のご分身が宿っているとされており、画鋲を刺す行為は神様の体を傷つけるのと同じ意味になります。
お札に直接穴をあける行為は、もっとも避けるべきタブーのひとつです。テープで貼るぶんにはOKなので、裏側の目立たない場所にセロハンテープや両面テープを使いましょう。
どうしても画鋲で壁に留めたい場合は、お札をクリアファイルに入れるか、台紙に貼りつけてから、台紙のほうに画鋲を刺すという方法があります。こうすれば、お札本体を傷つけることなく壁に固定できるでしょう。
前のセクションで紹介したマスキングテープや粘着フック、お札立てを使えば、お札にも壁にもダメージを与えずに済みます。賃貸にお住まいの方にとっては一石二鳥の方法なので、ぜひ試してみてください。
②引き出しやクローゼットにしまい込まない
「飾る場所がわからないから、とりあえずタンスの引き出しに入れておこう」というのもNGです。お札は人の目に触れる場所に祀ることで、はじめてお守りとしての役割を果たすとされています。
暗い引き出しやクローゼットの中にしまい込んでしまうと、神様を閉じ込めるようなかたちになり、ご利益がじゅうぶんに発揮されないと考えられています。いただいた紙袋に入れたまま放置するのも同様です。
もし飾る場所がすぐに決まらない場合でも、いったん清潔なタオルや白い布の上にお札を置いておきましょう。仮置きの状態であっても、見える場所に出しておくだけで意味が変わってきます。
神社からいただいたお札には、わたしたちを一年間守ってくださるという意味が込められています。いつも目に入る場所にお祀りして、日々感謝の気持ちを伝えることを大切にしたいものです。
③お札の上を人が歩く場所は避ける
一軒家であれば、お札の真上にトイレや廊下がない場所を選ぶのが基本です。しかしアパートやマンションの場合、上階の間取りまではコントロールできないのが現実でしょう。
お札の真上を人が頻繁に歩いたり、上にトイレなどの水回りがある環境は、神様にとって落ち着かない場所とされています。とはいえ、集合住宅に住んでいる以上、完ぺきに避けるのは難しいケースが多いです。
そんなときに役立つのが、「雲」「天」「空」のいずれかの文字を書いた白い紙を天井に貼る方法です。これは「これより上は天であり、なにもない」という意味を示す昔ながらの知恵で、マンション住まいの方がよく実践しています。
半紙に筆ペンなどで書くのが一般的ですが、プリンターで印字してもかまいません。天井にマスキングテープで貼るだけなので、賃貸でもかんたんに対応できるでしょう。
お札を飾ったあとの日々のお参り作法とお手入れ
お札を無事に飾れたら、つぎに気になるのが日々のお参りや管理の方法ではないでしょうか。ここでは、忙しい毎日のなかでもむりなく続けられるお参り作法と、お札まわりのお手入れについてお伝えします。
①毎日のお参りは「手を合わせるだけ」でも十分
お参りというと、正式な二拝二拍手一拝の作法を毎日やらなければいけないのでは…と身構えるかもしれません。もちろん正式な作法で参拝できればベストですが、忙しい朝にはなかなか時間が取れないでしょう。
毎日お札の前で数秒でも手を合わせ、「今日もよろしくお願いします」と心のなかで唱えるだけでも、立派なお参りになります。大切なのは形式よりも、神様に向き合う気持ちです。
正式な作法を行いたい場合は、「二拝二拍手一拝」のながれをおさえておきましょう。まず深いおじぎを二回し、胸の前で右手をすこし下にずらして二回手を打ち、手を合わせてお祈りし、最後にもう一度おじぎをします。
朝の出勤前と帰宅後の一日二回が理想ですが、むずかしければ一日一回でもかまいません。「続けること」がなにより大切なので、じぶんのライフスタイルに合ったペースで取り組んでみてください。
②お供えは水だけでもOK?最低限の目安
お供えものとしてもっとも基本なのは、お水・お米・お塩の三点セットです。これを毎日用意できればベストですが、一人暮らしのアパートではなかなかハードルが高いかもしれません。
最低限であれば、毎朝一番に汲んだ新しいお水を小さなコップやお猪口に入れてお供えするだけで大丈夫です。お水はいのちの源であり、もっとも基本的なお供えものとされています。
お供えしたお水は、夕方か翌朝に下げて、植木の水やりに使ったり自分で飲んだりしてもかまいません。「お下がり」として感謝していただくのがならわしです。
余裕のある日には、炊きたてのご飯を一口ぶんだけお供えしたり、いただきもののお菓子を添えたりするのもよいでしょう。無理のない範囲で、感謝の気持ちを表すことが大切です。毎月一日と十五日だけお塩とお酒も加える、というやり方もあります。
③お札まわりのホコリ掃除と清潔を保つコツ
お札を飾りっぱなしにしていると、いつのまにかホコリがたまってしまいます。神様のいらっしゃる場所をきれいに保つことは、日々のお参りと同じくらい大切なことです。
週に一度くらいのペースで、お札まわりのホコリを乾いた布やハタキでやさしく払う習慣をつけましょう。お札本体にもホコリがついている場合は、息を吹きかけるのではなく、清潔なやわらかい布でそっと拭きとります。
お供えに使った器もこまめに洗い、つねに清潔な状態をたもってください。汚れた器をそのまま置いておくと、せっかくの神聖な空間が台なしになってしまいます。
掃除のついでにお札の状態もチェックしましょう。お札がよれたり破れたりしている場合は、そのまま放置せず、新しいお札を授かるタイミングで交換するのがよいです。お札のまわりを清潔に保つことは、結果として部屋全体をきれいにするモチベーションにもつながるでしょう。
厄払いのお札はいつまで飾る?返納時期と正しい返し方
厄払いのお札は、いつまで飾っておけばよいのか。役目を終えたお札はどうやって返せばよいのか。ここでは、お札を飾る期間の目安と返納のしかたについてくわしく解説していきます。
①厄除けのお札を飾る期間は基本的に1年間
お札には明確な有効期限があるわけではありませんが、一般的にはお札のご利益は授かってから約一年間とされています。厄払いのお札も、祈祷を受けてから一年を目安に新しいお札に交換するのが基本的なならわしです。
厄年は数え年で計算し、一月一日から翌年の一月一日(もしくは節分)までを一年とカウントするのが一般的です。誕生日で区切るわけではないので、年が明けるまではお札を手元に置いておきましょう。
前厄・本厄・後厄と三年つづけて厄払いを受ける場合は、毎年新しいお札を授かり、古いお札を返納するというサイクルをくり返すことになります。古いお札を一年も二年も放置しておくのは好ましくないとされているので、年に一度のタイミングで入れ替えるのがベストです。
一年が過ぎたあとも大切にしたい気持ちはわかりますが、お札は「感謝を込めてお返しし、また新しいご加護をいただく」ものです。適切なタイミングで返納することで、神様への礼儀をきちんと果たせるでしょう。
②返納先は祈祷を受けた神社・お寺が原則
役目を終えたお札は、基本的にはご祈祷を受けた神社やお寺に返納します。多くの神社には「古札納所」や「返納箱」が設置されており、そこにお札を納めるだけで手続き完了です。
お札の返納に特別な予約や手続きは基本的に不要で、古札納所にそっとお納めするだけで問題ありません。お焚き上げの料金がかかる場合もありますが、無料のところも多いです。
返納のタイミングとしてもっとも多いのは、年末年始から一月十五日ごろまでの期間です。多くの神社では、この時期にどんど焼きなどの行事が行われ、古いお札やお守りをまとめてお焚き上げしてくれます。
お焚き上げの時期を逃してしまった場合でも、通年で古札を受けつけている神社は少なくありません。明治神宮のように、年間を通じて返納箱が設置されている大きな神社もあるので、タイミングをみて足を運んでみてください。
③違う神社に返しても問題ない?引っ越し後の対応
転勤や引っ越しで、ご祈祷を受けた神社が遠方になってしまった…という方もいるでしょう。結論からいえば、神社で受けたお札はべつの神社に返納しても問題ないとされています。日本の神道では多くの神様をお祀りする文化があるため、異なる神社でもお札の返納を受けつけてくれるのが一般的です。
ただし、お寺のお札については注意が必要です。宗派がちがうお寺では返納を受けてもらえないケースもあるので、同じ宗派のお寺に持って行くか、元のお寺に郵送で返納できるか問い合わせてみましょう。
近くの神社に返納する場合は、古札納所があるかどうかを事前に確認しておくと安心です。小さなお社では受けつけていないこともあります。
引っ越し先の氏神神社に返納がてらご挨拶に行くのも、新生活のよいスタートになるかもしれません。あたらしい土地の神様にもごあいさつできて、一石二鳥です。
④どんど焼き・お焚き上げの活用方法
お札の返納方法として、もっともポピュラーなのが「どんど焼き」や「お焚き上げ」への持ち込みです。一月十五日の小正月ごろに全国各地の神社で行われるどんど焼きでは、古いお札やお守り、しめ縄などをまとめて焼きあげてくれます。
どんど焼きにお札を持参すれば、炎とともに神様への感謝をお伝えすることができ、もっとも伝統的な返納方法といえるでしょう。地域によっては「左義長(さぎちょう)」などと呼ばれることもあります。
お焚き上げの際に気をつけたいのは、ビニール袋やプラスチック製品を一緒に持ち込まないことです。環境への配慮から、お札やお守りだけを紙袋などに入れて持って行きましょう。
「近くの神社でどんど焼きをやっていない」「忙しくて行けない」という場合は、郵送でお焚き上げを受けつけている神社のサービスを利用するのもひとつの方法です。封筒にお札を入れて送るだけなので、仕事が忙しい方でも手軽に返納できるでしょう。
まとめ|アパートでも厄払いのお札は正しく飾れる
賃貸のアパートでも、厄払いのお札をきちんと飾ることは十分に可能です。お札の方角は南向きか東向き、高さは目線より上、そして明るく清潔な場所。この三つの基本ルールをおさえておけば、神棚がなくても神様に失礼になることはありません。
壁に穴を開けたくない場合は、100均や無印良品のアイテム、鴨居スタンドやマグネットホルダーなど、賃貸ならではの工夫がたくさんあります。お札が複数ある場合の並べ方や、画鋲を刺さないなどのタブーもあわせて覚えておけば、安心してお祀りできるでしょう。
お札は飾っておしまいではなく、日々のちいさなお参りやお手入れをとおして神様とのつながりを感じることに意味があります。そして役目を終えたお札は、感謝をこめて神社やお寺にお返ししましょう。完ぺきでなくてもかまいません。「大切にしよう」というあなたの気持ちこそが、いちばんの礼儀です。
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